3/17/2018

三次元



夕方
外から帰った我が子の
冷たい手を
両手で挟んで温めたり
買い物先で
手に取ったグリーンピースを
まだもう少し早いと
棚に戻してみたり
あちらは開花だと聞いて
こちらの蕾に
一方的に眼差しを送り
旅に行きたいと
一年中口遊み
疲れたと横になっても
疲れを忘れることはなく
扉を開けた
スマートフォンの画面の隅
色が変わりかけているのは
おそらくは
社会の軋みに
耐えかねているのしょう

二次元で騒がれている芥の出所は
西に傾いた椅子の上
ペシャンコになった座布団の上
でもこれは
まさしく三次元での事実なのです














































03172018

スケープゴートは夢を見ない


頭上に浮かぶは鯉の餌
今夜は春の雨が降り注ぐ
ふやけた姿はあの顔にそっくりだ
どうやら目も鼻も無いようだ
一番大事な耳は機能不全
「話を進めてください」
聴こえないのか
それとも
言語理解力が
並外れて劣っているのか

スケープゴートは
夢を見ない
無数の
軍靴の音も聴こえない
これから始まろうとしている儀式に
参列しようとしている愚か者だ
無数の
期待の前に晒されながら
四角い台の上に乗せられるのは
お前だ































03172018


















2/05/2018

山口県に住みたいな(フランク・ザッパ的な)



山口県に住みたいな
本州の西の端
山口県に住みたいな
吉田松陰て誰ですか
山口県に住みたいな
伊藤博文は悪魔です
山口県に住みたいな
A級戦犯は裏切り者
山口県に住みたいな
特産品は河豚と河豚
山口県に住みたいな
豚が田植えをしています
山口県に住みたいな
そこは日本のパラダイス
山口県に住みたいな
自衛隊の基地もある
山口県に住みたいな
米軍基地も造りましょう
山口県に住みたいな
オスプレイには手を振って
山口県に住みたいな
ド田舎に憧れていたのです
山口県に住みたいな
教養は飯の種にはなりゃしない
山口県に住みたいな
文化はないがカネはある
山口県に住みたいな
知性はないがカネはある
山口県に住みたいな
山口4区に住みたいな
投票権も手に入る

























02052018

1/22/2018



これは死者の思いなのだろう
いずれは解けて流れ出す
でもその前に
少しだけでも
形に留めたい
できれば白く
できれば冷たく
できれば記憶の片隅に残るよう
























01222018

12/01/2017



今朝、師走の曇天の下で白と黒のブチ猫が私の前を横切って行った。猫は大人でもなければ子どもでもない大きさで、ひょろっとしていた。野良特有の小走りする姿は近所では見たことが無い柄だ。毛並みが艶々と滑らかに流れていたので、咄嗟にこの猫は宇宙から来たのか過去か来たのか、もしくは異次元辺りから迷い込んだ猫だと思った。猫は走り去ると他所様の庭奥深く入り込んでやがてその姿は見えなくなった。ほんの2秒程度の出来事で、野良猫に出くわすなど珍しくもなんとも無い出来事ではあったが、その猫とは会うべくして会ったように、数枚の写真に残るかの如く脳裏に焼き付いてしまった。猫が急いで探していたのは未来への入口、もしくは現世からの出口なのだろう。その猫の後をついて行きたかったが、冷たい風が自転車で走る私の目元を切るので、滲む涙を拭わなければならなかった。人差し指の先が鈍く光った。































12012017



11/12/2017

ひとつ


雨音に混じってシャーペンの芯が折れる音が響く
小さく咳する青白い子
ホワイトボードは今日もギシギシと軋み
賛美歌を歌うマーカー
飛び跳ねる消しゴムはみんなの厄介者
窓から入り込む唐突な踏切の鐘の音
遮断機の内側にスマホがポツンと落ちている
見て見ぬ振りする大人たち
耳にはイヤフォンが捻じ込まれ
傘の陰に隠れてる
ジャンケンに勝って人間に生まれたのだろう
星ひとつ消滅するまで
鳴り止まぬタンゴのリズム



































11112017















11/03/2017

美しい国


明日は祝日
昔で言う旗日だね
誰かが玄関先や門の脇に
日の丸なんかを立てたりね

休日だから
自由で民主な時間だね
天気予報は晴れ予報
お出かけなんかしたりして

これでも少しはお洒落なんだ
カラーコーデは青と白
斜に構えて
すましたりして

地下鉄にでも乗ろうかな
閑散とした半蔵門駅で降り
外務省に中指立てたり
お散歩ってだあーい好き

観光地までは徒歩で10分ほど
三角形が見えてきたね
古めかしい色合いの
あの建物は国会議事堂

なんでも「取って取って」と
背の低いガキみたいに
言えさえすれば
総理になれるらしいのね

嗚呼、美しい国
ニッポン
明日は折しも文化の日
マルセル・デュシャンがお気に入り










11032017








10/18/2017

丘の上の




「奏でる」は「言葉」
「刻む」は「歴史」

いつまでも指を咥えて
丘の上に居たまえ































10182017

10/12/2017

加害者と被害者



あっちの棘を抜こうとすると
こっちの棘が喋り出す
こっちの棘を抜こうとすると
そっちの棘が喋り出す
皆、口々に言うことは同じ
「私は加害者ではない」
どこから来たのかと尋ねたのだが
あなたは加害者であるのかと
尋ねたことは一度もないのだ


































10112017

9/13/2017

盲目の土竜



夏は終わってしまったんだよ

(今朝、蝉が鳴いていた)

もう夏は終わったんだ

(蟻は忙しく角張って歩いていた)

夏じゃないんだ

(小灰蝶の羽が、)

これは秋の色

(オレンジと紫と象牙色)

青空に続く果ては?

(生きているうちにはわからない)

君は誰なの?

(盲目の土竜)

























09132017


7/03/2017

反転



今日

私が訪ねる場所は

病院の待合室かも知れない

美術館の座り心地の良い

ふかふかの椅子かも知れないし

コンビニの商品棚に置かれた

チョコレートの前か

もしくは

50年のお家のノスタルジックな

扉の前かも知れない


散らばった文字を

拾い集めることに

少し疲れて

集めても集めても

会ったこともないのに

まだ集め続けて

今日も

扉の内側に立っている


































07092017