3/17/2018

三次元



夕方
外から帰った我が子の
冷たい手を
両手で挟んで温めたり
買い物先で
手に取ったグリーンピースを
まだもう少し早いと
棚に戻してみたり
あちらは開花だと聞いて
こちらの蕾に
一方的に眼差しを送り
旅に行きたいと
一年中口遊み
疲れたと横になっても
疲れを忘れることはなく
扉を開けた
スマートフォンの画面の隅
色が変わりかけているのは
おそらくは
社会の軋みに
耐えかねているのしょう

二次元で騒がれている芥の出所は
西に傾いた椅子の上
ペシャンコになった座布団の上
でもこれは
まさしく三次元での事実なのです














































03172018

スケープゴートは夢を見ない


頭上に浮かぶは鯉の餌
今夜は春の雨が降り注ぐ
ふやけた姿はあの顔にそっくりだ
どうやら目も鼻も無いようだ
一番大事な耳は機能不全
「話を進めてください」
聴こえないのか
それとも
言語理解力が
並外れて劣っているのか

スケープゴートは
夢を見ない
無数の
軍靴の音も聴こえない
これから始まろうとしている儀式に
参列しようとしている愚か者だ
無数の
期待の前に晒されながら
四角い台の上に乗せられるのは
お前だ































03172018