さあ
この美しい手をご覧になって
この手の色は白く
この手の形は隙がなく
この手には温もりがない
完璧な手
握ったことも
放したことも
運んだことも
投げたことも
持ち上げたこともない
完璧な手
さあ
この美しい手をご覧になって
子どもに料理を作ったことも
シャツにボタンをつけたことも
雑巾を搾ったことも
土に種を植えたこともない
完璧な手
さあ
この美しい手をご覧になって
作り物のような
人形のような
偽物のような
上辺を取り繕うだけの
完璧な手を
09212023
さあ
この美しい手をご覧になって
この手の色は白く
この手の形は隙がなく
この手には温もりがない
完璧な手
握ったことも
放したことも
運んだことも
投げたことも
持ち上げたこともない
完璧な手
さあ
この美しい手をご覧になって
子どもに料理を作ったことも
シャツにボタンをつけたことも
雑巾を搾ったことも
土に種を植えたこともない
完璧な手
さあ
この美しい手をご覧になって
作り物のような
人形のような
偽物のような
上辺を取り繕うだけの
完璧な手を
09212023
自分の部屋は自分の歴史
本の表紙に付いた滲も
日に焼けたカーテンも
柱の擦り減った角も
それは全て自分の歴史
思い出はいつか古ぼけて
いずれ美しく輝いてほしいと
願っても
残るのは砂粒ひとつ
その砂粒を共有しようと
人はまた今日も
誰かと連れ立っては旅に出る
風は見ていた
でも風の言葉は
我々には通じない
海は徐々に腐り
山は悲鳴を上げて疲れ果て
炎が天で
上機嫌で
歌ってる
08272023
藍色は走る
瞬きは星の煌めきと
同じ速さだから
おそらくは闇は過ぎ去り
光はレースでも編んでは
時間を潰している
水は笑いすぎてしまい
口が閉じなくなってしまった
言葉が無限に溢れ出し
もう行き先を見失った
風は回り続け
白紙は彼方で佇み
途方に暮れている
卵が割れた
卵が割れた
生まれてくるのはだあれ
07/26/2023
4年前の今日
君は生まれた
それから少しして
君はうちに来た
毛むくじゃらの君は
毛むくじゃらの愛らしさを発揮して
毛むくじゃらのまま大きくなった
君がうちに来た時
君を一生を護ると決めたが
いつしか君は
私を護ってくれている
今日は雨
君は毛繕いに忙しく
そのあとずーっと寝っぱなし
誕生日のご馳走の
皿の上の
鰹は干からびてきた
それでいいんだ
好きなように生きればいいんだ
05/23/2023