2/19/2017

林檎



知能をもってしまった人間は
食糧を得る道具としての矢を
いつしか人間に向けるように
保身に徹する手段としての銃
銃口は愛する人に狙いを定め
遺されたマグカップの縁には
ロイヤルミルクティがひと雫
微風が揺らす新緑が映る歩道
あれから幾多も寒い雨が降り
耳殻の中で鳴り響く弦楽器の
弦は予告もなく切れてしまい
埃の匂いに混ざり微かに香る
林檎の花の姿を追い求めては
旅が尽き果てることと対峙し
遺されたマグカップの縁には
ロイヤルミルクティがひと雫
覗き込んで見える平和の文字
































2/16/2017


雲という雲は散らばり

稜線は幾重にも集まり

光は水面だけを輝かせ

水は流れに逆らわず

花は音もなく開き

大地には

果てない陰が伸びている


さあ

猫を探して

一番小さい猫を

純白の猫

尻尾は長いが

誰にも触らせたことがない

足跡さえ残さない

猫を探して

あなたの内側に居る猫を




























02162017