2/19/2017

林檎



知能をもってしまった人間は
食糧を得る道具としての矢を
いつしか人間に向けるように
保身に徹する手段としての銃
銃口は愛する人に狙いを定め
遺されたマグカップの縁には
ロイヤルミルクティがひと雫
微風が揺らす新緑が映る歩道
あれから幾多も寒い雨が降り
耳殻の中で鳴り響く弦楽器の
弦は予告もなく切れてしまい
埃の匂いに混ざり微かに香る
林檎の花の姿を追い求めては
旅が尽き果てることと対峙し
遺されたマグカップの縁には
ロイヤルミルクティがひと雫
覗き込んで見える平和の文字
































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