12/30/2015

来年



来年は
鬼が笑う
閻魔大王が笑う
地獄への入口が
あんぐりと口を開けて笑う
首相が笑う
大統領が笑う
地獄への入口が
あんぐりと口を開けて笑う
















12/19/2015



私にとって一遍の詩は
一枚の絵画であり
一皿の料理であり
一冊の本の表紙であり

本の中身は
ノンフィクション
フィクション
私小説
随筆
ジャンルは読者が決めてくれる
私はただ
暗がりの中にしゃがみ込んで
黙々と
コツコツと
表紙の上を撫でている
保育器の中の乳飲み子が
息をしているかを
確かめるかのように




























12/05/2015

写真



広場には人影がまばらで
それでいて人影が途切れることが無く
白っちゃけた全体像には
無言で歩く人と人
そこが広場だと確認できるのは
広場を一周する屋根付きの回廊で囲まれているからで
石灰岩のような壁には小窓が灯りを取り入れて
男は黒いスーツに丸みを帯びた帽子を被り
女は細身のドレス
小さな傘を持って歩く
18世紀末には暑い昼
傘の影が
女の肩に吸い込まれ
男は
この世に女などいないといった素振りを見せては出口へ向かう
土埃が明日を舞い上がらせているのは
写真が飾られている部屋の温度が冷たいせいである