右側の写真機
作詞 井上麻樹子
誰も見てゐない
誰も聞いてない
誰にも話したりはしない
画像は写真店で再生し
永遠に足跡を残しませう
なんて理想的な魅惑の時代
記憶の改竄を時に修正と呼ぶのです
蜘蛛の子を散らすやうに
過去から遠ざかつて行くのです
誰も見つけない
誰も探さない
誰にも宝は渡さない
秘密はパンドラの匣の中
永遠に封印命令を下しませう
なんて理想的な豪奢な時代
記憶の改竄を時に修正と呼ぶのです
蜘蛛の子を散らすやうに
過去から遠ざかつて行くのです
誰も気にしない
誰も生きちやゐない
だから
だから(←この箇所でわざとらしく半音階上に移調)
誰にも悲しい思ひをさせない
積極的平和と謳へば平和が巡る
永遠の翼賛を祈りませう
なんて理想的な安寧の時代
記憶の改竄を時に修正と呼ぶのです
蜘蛛の子を散らすやうに
過去から遠ざかつて行くのです
記憶の捏造を時に修正と呼ぶのです
蜘蛛の子を散らすやうに
現在から遠ざかつて行くのです
眠る夢
作詞 井上麻樹子
潜れ潜れと拍手を浴びて
火の輪を潜ろうとするのは
飼い慣らされたライオンさ
息を飲む客は動かない
団長の鞭の音は空気をも切り裂く
尻尾の先が少し焦げている
今宵
長いお髭を捻っては
ライオンはカンバスに向かう夢をみる
回れ回れボールを回せ
よろけて大玉に乗ろうとするのは
群れから逸れた象さ
死なない程度の食事を与えては
団長の鞭の音が床を震わせる
爪が真っ二つに割れている
今宵
三日月に重い鎖を引っ掛けて
像はサンバを踊る夢をみる
笑え笑えと身振りや手振り
躓き転ぼうとするのは
もの言えぬ道化さ
派手な衣装は体の一部
団長の怒鳴り声で白い顔は青ざめ
宿根草に涙を落とす
今宵
解れたテントの隙間から
道化は湖畔で眠る夢をみる
今宵
解れたテントの隙間から
道化は湖畔で眠る夢をみる
読者のみなさんへ
お読みいただき、ありがとうございます。
今年の2月に某講座に参加した際、歌(J-POP)の作詞の課題が出題されました。詩は時々推敲していますが、作詞は初心者。このような詞にどのようなメロディーが乗せられるのかは皆無。ノパソに保存していましたが、公開しました。
我慢
石は押されて押されていても
我慢するにもほどがある
小さな溝を見つけては
梃子でもそこを動かない
もしも気が変わったら
声をかけて
でもその時には
砂粒よりも小さくなって
シジミ貝の中に入って
あなたの最後の食事を
台無しにすることになるだろう
もしも気が変わったら
声をかけて
みんなが小さくなる前に