10/26/2024

あなたにはあなたの


あなたは朝起きて鏡を見る

そして少し二重になった顎を見て

こう思うのだ

もう少し痩せなければと

あなたは電車や自動車に乗る

そしてビルが建ち並ぶ景色を見て

こう思うのだ

あのビルも古くなったと

あなたは機嫌が悪い上司に接する

そして自分の縒れた服を見て

こう思うのだ

こんな職場は早く辞めてやると

あなたは仕事帰りに食事をする

そして少ないビールの泡を見て

こう思うのだ

下戸にビールを注がせるなと


あなたはスマホを取り出して

SNSを開く

そう、あなたにはあなたの幸せがある

そう、私には私の幸せがある

小さい液晶画面から届く動画

負傷した妹を担ぐ幼い姉は

靴を履いていない

頭が半分吹き飛ばされた

子どもの死体

頭を全部失ってしまい

誰かわからない子どもの死体


あなたにはあなたの幸せがあるが

私には私の幸せがあるが

確かにあの子どもたちにも

子どもたちの幸せが

あったのだ









































10252024


1/14/2024

紙皿ではない



きみが
使い捨てだと思っている紙皿は
あいにく
何度テーブルから落としても
割れたり
壊れたりすることはない
そして
それは使い捨ての紙皿なんかではない
きみは
随分と20世紀を生きすぎてしまい
時の流れを見失い
干からびては
固くなり
動けなくなってしまったようだ
いつしかきみは
古い古い石碑のように風化して
刻まれた文字や印さえ
誰も読むことができなくなる
もう読む必要もないのだろう
きみが
使い捨ての紙皿だと思っていたものは
これからも成長を続け
子孫を増やし
きみがどんなに醜い奴かを
口々にして
永久に語り続けることだろう
あいにくだが
我々は
何度テーブルから落とされても
割れたり
壊れたりはしないのでね





























01/14/2024