大きい奴隷は小さい奴隷を慰めた
お前は小さいから
労働が辛いだろうと
小さい奴隷も大きい奴隷を慰めた
お前は大きいから
力仕事ばかりで大変だろうと
小さい奴隷は
力がないから
食事のパンを
他の卑しい奴隷たちに取られてしまい
遂に奴隷のままで死んだ
大きい奴隷は悲しんだ
大きいから奴隷を慰める人はいない
大きい奴隷は奴隷のままで
首を吊って死んだ
06072025
今日もあの海辺では
罪のない人々が
空からの悪意に逃げ惑う
海を渡り
着いた陸では
記憶を忘却しようとした人々が
まやかしの未来に
歓喜するふりをしている
脳の片隅に
埃に塗れて動かぬ子ども
押しのけても
その記憶も動かない
作り笑いに引き攣る口元
テーブルの上の肉だけが
ぐにゃぐにゃと動き出す
あの海辺を目指して
あの泣き叫ぶ
子どもたちを目指して
03202025