10/13/2012

【Oct/21/2012】アメリカ合衆国ジャパン州


前回のブログの最後の段落を書いている時、これから書こうとしているお話が、ふと2秒ほど頭の中を過った。
お話は襟懐を震撼させる面白さであった。
それは、「週刊朝日 10月19日号」の中にある。
目次からそのまま抜粋すると「机上の放談スペシャル対談 養老孟司×池田清彦 大胆な『世直し』提言 バカとアホの壁を越えて」(38頁)。週刊誌特有のタイトルは、少々長い。
養老先生と池田先生の、「大胆」に輪を掛けた対談の内容であった。
お二人の舌剣が心地よい。
日本の政治、社会の拙策を、メタメタに斬りつけていた。
だが、私が身震いした箇所は42頁の4段目のからの部分。
よって以下に引用します。(敬称略)

養老 政策といえば、日本人は、以前、ブッシュのとき、アメリカ大統領選への関心が世論調査で80パーセントもあった。アメリカ人は40パーセントしかなかったのに。だから僕はいつも、日本はアメリカ合衆国に合邦すればいいと言ってるんですよ。
 
池田 それはおもしろい。日本人は1億3千万人いるから、むこうのマイノリティーをリクルートすれば、日本人だってアメリカ大統領になれる可能性がある。アメリカの人口は3億少しだから、日本人は構成では3分の1にもなるわけだ。
養老 ただ問題は、日本人があの大変な国を抱え込めるかってことで。
池田 それが問題だ。日本人に誰かそういう才覚のあるやつがいれば。なにしろ、そのときは日本をどうしろって話じゃなく、世界をどうするのかって話だからね。
養老 TPPがどうのこうのって話じゃない(笑)。
池田 アメリカを乗っ取るんだよ。
養老 これが中国相手だと無理。むこうにすぐに乗っ取られてしまうわな(笑)。

と、ここで対談記事は締め括られていた。過激だが途轍もなく面白い。
この発想は「庇を借りて母屋を取る」(「庇を貸して母屋を取られる」の能動態)。
民主主義では「数」がモノを言う。
そうだ、アメリカと合邦だ。アメリカ合衆国ジャパン州になるのだ。ニホン州でもニッポン州でもよい。
先ずはTPPの問題は、忽ちのうちに解消する。日米貿易は国内流通にシフト。
課税の関係で、食料品と日用品の価格が下がり、消費税を10パーセントまでに増税しても、現在より安価であり、生活が平易になるかもしれない。
どれほどのアメリカが抱える経済的負債があろうと、日本が抱える赤字国債は、もはや将来、隣の宇宙まで届く勢いの数字である。
これがジャパン州となれば、アメリカの財政問題であるから、おのずと若干は緩和されよう。
アメリカの各州によって法律が異なる特質を活かし、ジャパン州に合わせて立法する。どうせ戦後にアメリカの都合上により草案された日本国憲法である。9条を存続させることにも、アメリカに異議はないと思われる。この憲法を叩き台にして今風にアレンジし直す程度で、議会で通るであろう。
言語教育の問題もクリアできる。どの道教育プログラムに英語が組み込まれているのだから、今と何ら変わりなく、名称を「日本語」と「英語」と変更すると片付く。実際アメリカ国内においても、地域によっては独自性の高い英語が浸透している。国によっては地域や公と私で2ヶ国語を使用し、問題がない。
「歴史」は偏った箇所があるぐらいであるから、この際大幅に修正を入れて、組み立て直すことが出来よう。グローバル時代だとか、世の中がうるさくせかすので、教育で日本人の不得意とする「欧米やアジアの歴史」に厚みを持たせよう。
なにより学校を幅広く選択できる。面倒 な留学の手続きなく、アメリカの学校へ入学できる。ハーバード大学を目指す若者も増えよう。入学より卒業が難関であり、学びに多忙で就活もままならず、学生本来の姿に戻ることも出来よう。日本の学校においては、少子化で経営難に陥っている様子が見受けられる故、アメリカ本土や他国からの学生を積極的に迎え入れられることが出来る。異文化交流に一役買うこともでき、「日本人は何を考えているのか分からない」といった偏見も軽減されるであろう。
治安は安定するのか。
アメリカで悪さする輩の多くは、20ドル、せいぜい50ドルを渡せばそれを握り締めて逃げて行くから、5000円欲しさにそのような輩が飛行機や船に乗り、日本へ押し寄せるとは考えにくい。余談だが、アメリカ合衆国のネイビーブルーのパスポートは、渡航の際には世界一強いと言われる。
細かいことだが、貨幣をドルに変更となれば、紙幣が中心で硬貨の種類が少なく、お財布の中がスッキリとして良い。そして、クォーターと呼ばれる25セント硬貨の、なんと使い勝手のよいことよ。企業にしてもドルと円の為替相場を気にせず取引が出来る。性能を誇る日本車は「国産車」として求め易い価格で販売され、国内需要が伸びるであろう。とすれば、ジャパン州企業の株価はおのずと現在よりは安定へ向かう。
さて、ここからだ。
ジャパニーズアメリカンを合衆国の議会へ。そしてホワイトハウスへ。
池田先生のおっしゃる通り、人口の3分の1は日本人だが、あと6分の1以上の賛同者が必要だ。「数」は多ければ多いほどよい。アジア系、アフリカ系、南米系が、結束して票を集めよう。彼等親族に、グリーンカード(永住権)やシチズン(市民権)を優遇して発行すると公約を掲げると、即効性ある、より多くの票が集められることが可能である。
初のオリエンタル系合衆国大統領は、リベラルに政策を進めなくてはならない。有権者はそれに期待して投票している。その点において日本人は、異文化をすんなりと取り入れ調整することに長けている。文字ひとつにしても中国大陸から漢字を輸入し、漢字を元にカタカナ、ひらがなを創り出し組み合わせては日本語として継承している。徳川幕府が鎖国に踏み切った要因に、この民族的柔軟性を懸念しての策であると言えよう。だからこそ日本人は、アメリカ大統領に適任であるのだ。
日中韓がギクシャクしている。これは皆同じテーブルに着いていないからである。隣のテーブルの客が騒ぐとうるさく感じる原理と同じである。アメリカ合衆国ジャパン州として外交を行う。特に中国とアメリカ合衆国ジャパン州との宴会の同じテーブルで、誰が騒ごうと止める人はいない。
それにはノーベル平和賞を受賞した欧州連合を見習い、先ずは「太平洋・アジア連合」を締結させる。とは言え、欧州連合を丸写しでは、いささか芸がない。アジアとしてのプランが必要だ。アジアの和平を軸に、どこに接点を見出せるのか。国は人に似ている。
積み上げたキャリアに重点を置く人もいれば、自分を取り巻く環境に重点を置く人もいる。しかし、必ずそこに接点はあるはずである。日系大統領が各国の長所を取り入れ配慮し、全体としての新たなスタートラインを構成する。長時間に渡る熟議を要するかもしれない。が、その後の「太平洋・アジア連合」により、尖閣諸島や竹島問題において、これらは対アメリカ合衆国ジャパン州との話し合い、アメリカと、それこそ喧嘩腰での話し合いなどあり得ない。(この件についての詳細説明は省略)。和やかに事が収まるであろう。だが、ロシアとの北方領土問題は、やや手こずる可能性を秘めている。今昔の争点、カニの密漁疑惑が浮上している。が、我が国、いや全世界において自分の持ち物には名前を書くことが通説であるから、カニ1パイずつに「ロシア」と明記さえすれば、たとえジャパン州海域に迷い込んだロシアのカニが漁で網に掛かったとしても、オホーツク海へ戻せばよい。フェアである。仮に密漁が行われた場合は、甲羅に「ロシア」と記名されたカニの写真を、密漁の証拠として残すことが出来る。これでロシアとの海洋資源共有が保たれよう。また、エネルギー資源は開発中のウラジオストクから輸入すること前提にすれば、北方四島は、直ちに返還されると思われる。我々も彼等も欲しいものは島や海域ではなく、資源と紙幣である。
先にも述べた通り和平が軸となると、軍事予算を大幅に削減できる。軍事費は国の経済成長を圧迫し失速させる。これだけは言える。私たちは、無数の火花のために労働し税金を納めているのではない。それほどまでに火花を見たり火薬の匂いを欲するのであるなら、裏庭で線香花火でもやればよい。誰も止めないであろう。不満があるなら、受け入れてくれる社会主義の国へ亡命もできる。これも誰も止めない。そして太平洋・アジア領域の基地も縮小し、普天間をはじめとする沖縄軍事基地は、撤退してもなんら差し障りはない。争い事のない平和な国々で武器は要らない。我々が生きてゆく上で最低限に必要な物は、水と塩と食料である。武器から泉は湧いてこないし、基地で稲穂が実ることはない。
いざという時の窮地には、相談役にEUを迎え入れ、助言を請うこともで出来よう。また、それにより更にEUとの親交を深める。
このように話が進行すると、国名にこだわりを持つ日系アメリカ人が出現し、異論はを唱えるかもしれないが、選挙が定期的に行われることを熟慮して、言い換えれば有権者に媚びて、「USAJ」に変更しよう。アルファベットを一文字追加するだけである。
誤解の無いように断っておくが、私はアメリカという国に、かなりの尺度で好意的である。三度グリーンカードの抽選に応募し、三度ハズレを引いた口である。日本国内と同様に、好きな時に好きなだけアメリカに滞在出来れば、と思う。が、きな臭いのは御免である。
その前に、アメリカが合邦に「うん」と言うであろうか。

と、7.5畳のダイニングキッチンの片隅にて、スマートフォン片手にタイピング。
嗚呼、養老先生の「バカァー!」池田先生の「アホォー!」とこちらへ叫ぶ声が、幻聴が響く。この部屋の壁の向こうから、、、。ん?
















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